植物相調査(フロラ調査)では、対象地に生育する全ての植物をリストアップします。植物は生態系の基盤であり、種によって地形・地質・日照・水分条件など生育環境が異なることから、環境の指標ともなり、自然環境の基礎情報として重要です。
調査の際には、対象地の環境特性や地域性などを考慮し、様々な環境を巡るよう心がけます。様々な植物種の生態を認識した上で踏査するため、技術力と経験が必要です。また、室内での同定が必要な植物は持ち帰って調べ、さく葉標本にして保管します。標本にするための植物は、数多くある類似種の中での区別点を把握した上で、適切な個体または部位を採取する必要があります。
なお、一般的な植物相調査の対象は、シダ植物以上の高等植物(維管束植物)です。
植生調査では、対象地に成立している植生のパターンを把握します。植生は、ある場所に生育している植物の集団であり、均質なまとまりをもつ単位によって構成されます。植生タイプによって成立する環境が異なるため、環境の指標としても重要です。